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旨いものを喰おう

喰いましょう。さぁ。

素振りに定評のあるタカシ、その生き様とは?

「金華ハム。」寡黙なタカシからようやく開かれた言葉は意表をつくものであり、その周りにいた大人たちは皆足を震わせながらゆっくりと後ろに倒れこんだ。タカシの能力を開花させた原因を探ろうと、インタビューを行っていた2時間の間に、タカシが唯一発した言葉であった。「この世で一番好きなものは何か」という質問に対する回答。

 

今日もタカシの素振りが空を切る。タカシは誰よりも美しいフォームで。その所作は流線型を描いて。タカシは10分間の休憩で2リットルのポカリを飲む。タカシは卓球のことを「ピングポング」という。一般の常識から考えるとありえない、しかしタカシという文脈の中ですべての所作と言動は輝いて見える・・・

 

タカシは球を必要としない。素振りだけで。その所作だけで。全てを物語っているからだ。現にタカシは球を打ったことがない。他校との試合で同級生が試合をやる中、タカシは素振りをし、全観客・全選手の視線を一点に集め、 試合は中止になる。以降はタカシの素振りを5時間にわたり観察することとなる。閉館時間5分前、高々と優勝旗を掲げるタカシ。

 

 世界へ羽ばたくTAKASHI・・・・素振りをしながらセキュリティゲートを通過するタカシ。昼食代を素振りで払うタカシ。ストリートで賞賛を浴び Facebook の Like! 数が 5000 万を越えたタカシの写真。間違って「TAKESHI」と言われようと気にしない。その存在は紛れもなく「タカシ」であり、「TAKASHI」である。「TAKESHI」ではない。ないのだ。