旨いものを喰おう

喰いましょう。さぁ。

R教授とコロ助が語る『色彩を持たな(中略)の巡礼の年』

R教授:著者の小説を読むと何となく自分にも主人公に似ているところがあると感じてしまうのは、何か具体的な特徴が類似しているというよりは、他人と比べて何かが欠けているんじゃないかという感覚が読者にそう思わせるのではないかという気がするのでR。例えば、皆が羨む様なキラリと光る個性がないとか、広範囲にわたる人間関係を避け少ない友人としか付き合わないとか、女性に対する愛情表現が下手だとか、何となく一般に広く好かれないような性格である気がするとか、そういった他人と比べた時に発生する自信のなさに起因しているような気がするのでR。

 

コロ助:でもそれらの自己評価の結果を性格的な特徴と言ってしまえば、特徴が類似しているということもできるのではないナリか?

 

R教授:たしかにそうとも言えるかもしれないのでR。

 

コロ助:早速「自信のなさ」のご登場ナリか~?!教授、しっかりしてナリ~。ストーリーについてはどうナリか?

 

R教授:こういう性格的な傾向をもつ主人公が現れるということで、そういった性格をクリアしてめでたしめでたし、という展開になるかと言うと単純にそういうわけでもないのがミソなのでR。自分の弱さを克服することを明示的なゴールとするのではなく、自分のそういっためんどくさい部分を受け入れつつも誰かを手に入れようとする、という目標設定がされ結果的に自己肯定につながる、そういった話が氏の小説の印象としてあるのでR。性格を変えるのではなく事実として受け入れた上でそれでも他者と関わっていく、という勇気が必要だというメッセージが見て取れるのでR。

 

コロ助:そういうことナリか~。何か性格的に欠点を持つ主人公が自分の弱さを乗り越えるというストーリーは、少年漫画とかにもあるナリね?

 

R教授:そうなのでR。主人公が好きな女の子がいて、その子に気に入られるために自分の性格的な弱さを克服するとかコンプレックスと向き合うという展開はよくあるといえばよくあるのでR。また、才能ある人間が花咲かすことができるかといった問題について言えば、スポーツ漫画にもそういったことをモチーフにしたものがたくさんあるのでR。そういった意味で言えば、村上春樹の小説イーコール少年ジャンプの世界観といっても差し支えないのでR。

 

コロ助:明らかに差し支えがあるナリ~。村上氏の小説には他にも、社会の仕組み全体に対する諦観があったり、ちょっと少年少女が簡単が受け入れられないような、というか受け入れてしまっては困る著者なりの考え方もあるナリよ~。

 

R教授:それは興味深いのでR。では私もこの村上春樹の新作をこれから読んでみようと思うのでR。

 

コロ助:まだ読んでなかったナリか~?!(ズコー)

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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